効果を高める地域体制構築
-実証項目達成目標-
・たい肥散布における地域請負体制の構築と委託料金等の継続的運用条件の設定
-目標に対する現在の達成状況 2023年度-
・たい肥散布の作業時間については、参画生産者以外の生産者での作業実績から、10aあたりにたい肥1tを散布する場合にかかる時間は平均0.11hとなった。
・上記の作業時間からたい肥撒布委託料金の試算を行う。
・たい肥の投入量は10aあたり1tとし、時給1,500円と想定すると10aあたり1tのたい肥撒布に係る人件費は165円となる。
・散布を行う作業機械の費用として、トラクタ(1,000万円)、自動操舵、ガイダンス(合わせて220万円)を購入し、マニュアスプレッダーをファイナンスリース(1,640万円)とした場合、償却期間及び利用期間を7年とすると年間408.5万円がかかる。
・また、修理費および燃料費についても「農業機械導入計画策定の手引き」を参考に試算を行った。
・本事業の参画生産者の育苗ハウス・自家野菜面積を除く、作付面積合計111.87haを想定利用面積とした場合、10aあたり1のたい肥を散布する委託料金の最低基準は6,861円となる。(表)
・これらの試算をもとにJAいわみざわを中心に地域請負体制の構築について検討する。
表 たい肥散布実績一覧


表 10aあたり1のたい肥を散布する委託料金にかかる費用内訳

図 地域での安定的な運用体制イメージ

-次年度の計画案-
・JA いわみざわを中心とした市内でのたい肥製造、販売、他地域からのたい肥購入、堆肥散布における地域運営体制の構築について検討する。
-目標に対する現在の達成状況 2024年度-
・堆肥散布における地域請負体制の検討資料として、堆肥散布委託料金の最低基準となる金額の試算を行った。
・令和 6 年度の散布作業実績より、10a あたりにかかる堆肥散布時間は平均 0.089 時間となる。
・時給 1,500 円と想定すると 10a あたりの堆肥撒布に係る人件費は 134 円となる。
・散布を行う作業機械の費用として、トラクタ(1,000 万円)、自動操舵、ガイダンス(合わせて220 万円)を購入し、マニュアスプレッダーをファイナンスリース(1,640 万円)とした場合、償却期間及び利用期間を 7 年とすると年間 408.5 万円がかかる。
・修理費および燃料費については、 「農業機械導入計画策定の手引き」を参考に試算を行った。
・散布作業にかかる費用を上記として、堆肥購入代(2,000 円/t)を加えた堆肥散布委託料金の最低基準を試算する。
・本事業の参画生産者の育苗ハウス・自家野菜面積を除く、作付面積合計 111.87ha を想定利用面積とした場合、堆肥散布委託料金の最低基準は 6,800 円/10a(堆肥散布量 1tの場合、散布作業費用4,800 円/10a+堆肥購入代 2,000 円/t)となる。
・これらの試算をもとに JA いわみざわを中心に地域請負体制の構築について検討する。
図 10a あたり 1tの堆肥を散布する場合の費用内訳

※1 農業機械導入計画策定の手引きより、表5主要農業機械の修理費係数を参照
※2 農業機械導入計画策定の手引きより、表14農業機械の代表的な圃場作業能率等からコードNo.25マニュアスプレッダーを参照
※3 経済産業省北海道経済産業局HPより北海道における石油製品情報(価格・需要)北海道の石油製品(灯油、ガソリン、軽油)の価格・月末在庫量、推移グラフ(2024年10月)から2024年4月~10月までの小売価格、北海道、軽油から作成
・後述の令和 6 年度実証成果の化学肥料削減割合を利用した地域の経営モデルでは、生産者の利益確保が見込める最低限の堆肥散布委託料金は、堆肥散布 1tあたり 4,300 円/10a と試算された。
・堆肥散布 1tあたり 4,300 円/10a を受託料金として作業を行う場合、堆肥購入・作業機械購入代および人件費単価は固定とすると委託面積の拡大が必要となる。
・受託面積拡大にあたり、人員を追加して散布作業と運搬作業を分担し、稼働時間を増やすことを想定した。
・条件のもとに試算すると必要となる堆肥散布受託面積は 269.66ha となる。
【条件】
(1)4 月中旬~5 月上旬、7 月下旬~8 月中旬、9 月下旬~10 月中旬の各時期に 10 日稼働
(2)作業時間は 1 日 8 時間、堆肥の運搬、マニュアスプレッダーの移動に散布時間と同様の時間がかかると想定
(3)堆肥の運搬、機器の移動に人員を 1 名追加した場合、堆肥散布作業の稼働時間は、30 日×8 時間=240 時間
(4)堆肥散布受託面積は、240 時間÷0.89(時間/1ha)=269.66ha
表 人員を追加して受託面積を拡大した場合の費用内訳

・1日当りの作業時間を延長した場合の稼働時間において、可能となる堆肥散布受託面積をもとめ、堆肥散布委託料の最低基準を試算した。
・作業時間延長については、所定8時間+残業4時間の合計12時間作業を実施したと想定する。
・条件より、堆肥散布可能な受託面積は404.49haとなる。
・試算した面積での堆肥散布委託料金の最低基準は3,681円(堆肥散布量1tの場合、散布作業費用1,681 円/10a+堆肥購入代 2,000円/t)となる。
【条件】
(1)4月中旬~5月上旬、7月下旬~8月中旬、9月下旬~10月中旬の各時期に10日稼働
(2)作業時間は1日12時間(所定8時間、残業4時間)、残業時間分については、25%の割増賃金を支払うものとする。
(3)堆肥の運搬、マニュアスプレッダーの移動に散布時間(0.089 時間/10a)と同様の時間がかかると想定
(4)堆肥の運搬、機器の移動に人員を1名追加、堆肥散布稼働時間は、30日×12時間=360時間
(5)堆肥散布受託面積は、360時間÷0.89(時間/1ha)=404.49ha
表 作業時間延長による受託面積を拡大した場合の費用内訳

-次年度の計画案-
・現地データ(収量、圃場裸地画像、土壌分析)、施肥設計、堆肥投入マップ等の作成および散布を生産者個人で行うことは困難であり、JA いわみざわを主体として専用サービスや地域企業などとの連携体制を構築し運営していくことを検討する。
・JA いわみざわは地域請負体制の中心として、堆肥製造、堆肥の外部購入・散布作業請負窓口の役割を担うことが期待される。
・現地データの収集にあたっては、岩見沢市の既存気象情報システムの改修やクラウドサービスを利用することで、新規に構築するよりも少ない負担で施肥設計、堆肥投入マップ等作成や情報共有による作業計画作成を行えると考える。